王様は外国人! ドイツ人のイギリス王 ジョージ1世 | 歴くまブログ

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王様は外国人! ドイツ人のイギリス王 ジョージ1世

7月 10, 2019

こんにちは、歴くまです。

もし、皆さんが「私の遺産を継いでくれ!」と外国人からいきなり言われたらどうしますか?

今回紹介するジョージ1世は、まさにそう言われた人でした。

ドイツ人でありながらイギリスの王位につくという、「外国人王」だったのです。

この王の誕生には、イギリス王室のお世継ぎ問題がありました。

世継ぎに恵まれなかった王と宗教問題

ヘンリー8世の時代に、イングランドはカトリックに対抗して、プロテスタントイギリス国教会)を作りました。

これ以来、イングランド王はプロテスタントの人物が継承していくことになります。

しかし、チャールズ2世の代に、思わぬ事態が起こります。

チャールズ2世は嫡子がなく、後継者の王弟ジェームズはカトリックだったのです。

ジェームズ2世

ここで、ジェームズ即位に反対する人々「ホイッグ」と賛成する人々「トーリー」との間で争いが起こります。

これが、イギリスの二大政党の基礎と言われています。

結局、ジェームズはイングランド王に即位し、ジェームズ2世となります。

ジェームズ2世は傲慢で、軍事力で議会をねじ伏せることもありました。

そして、「信仰自由宣言」により、カトリックと非国教会プロテスタントへの処罰を禁じたこと。

また、王に嫡男が生まれたこと(次代もカトリックの王が統治することが確実になった)が決定打となり、名誉革命が起こります。

形勢不利を悟ったジェームズ2世は逃亡。

ジェームズ2世の娘メアリーと、その夫のオランダ総督ウィレムが王位に即き、メアリー2世、ウィリアム3世となります。

ようやくプロテスタントの王に戻ったイギリスでしたが、この2人の間に子供は恵まれませんでした。

2人の後を継いだのはメアリー2世の妹アンでしたが、彼女も生涯に18回出産をしながら、みな次々と夭逝していき、王位継承者がいなくなってしまいました

ステュアート朝系図

しかし、ウィリアム3世が制定した王位継承法により、カトリック教徒はイングランド王に即けないことになったため、ジェームズ2世の息子ジェームズ(老僭王)は候補から外れます。

そのため、王位はジェームズ1世の孫であるハノーファー選帝侯妃ゾフィーとその継承者に引き継がれていくことが決まります。

ですが、スコットランドではジェームズ老僭王を担ぎ出して反乱を起こそうとする動きも見られました。

アンは、イングランドとスコットランドを合邦して「グレート・ブリテン連合王国(イギリス)」を誕生させ、王位継承への障壁を取り除きました。

1714年、アン女王が亡くなり、ハノーファー選帝侯ゲオルグが「ジョージ1世」としてイギリス王に迎えられます。

ハノーファー朝の誕生です。

「外国人王」ジョージ1世

ジョージ1世

ジョージ1世は即位前には1度しかイギリスを訪れたことがなく、英語も不得意でした。

そんな縁もゆかりも薄い土地へ行こうとしたのはなぜでしょうか?

その理由は、イギリスの国力でした。

ハノーファーの人口は当時50万人程度したが、イギリスはロンドンだけで50万人、全体では940万人もいました。

人口、面積、兵力と、全ての面においてハノーファーを圧倒的に上回るイギリスの国力は、ジョージ1世にはとても魅力的に見えたでしょう。

この国力をハノーファーの領土拡張に利用することができるのですから…。

赤:イギリス 緑:ハノーファー
イギリスにはハノーファーの約30倍の土地があった

と、ここで再び王位継承法が登場します。

王位継承法には、「議会の了承なしに、イングランド王国領に属さない領土・領域防衛のために、この国を戦争に巻き込むことは許されない」という規定がありました。

ジョージ1世は戦争反対派のウォルポールが下野したことにより、イギリスを北方大戦争へ参戦させます。

そして、スウェーデンからブレーメンなどを割譲させることに成功しました。

その後、ジョージ1世は政界に復帰したウォルポールに全幅の信頼を寄せるようになり、「国王は君臨すれども統治せず」の土壌が形成されることとなります。

まとめ

  • ジョージ1世を王に迎えた背景は、お世継ぎ問題王位継承法(カトリックは王になれない)だった。
  • ジョージ1世が王になった理由の一つは、イギリスの国力だった。
  • ジョージ1世は家臣に政治を任せ、「国王は君臨すれども統治せず」の基礎を作った。
ハノーファー選帝侯妃ゾフィー
ジョージ1世以降、全てのイギリス王はこの人物の血を引いている

ちなみに、王位継承の条件「ハノーファー選帝侯妃ゾフィーの子孫に限る」は現在も適用されていて、王位継承可能な人物は約5000人もいるそうです。

あなたの周りにも、王位継承者がいるかもしれませんね!

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